むくみ(浮腫)の原因・メカニズム・改善する方法など、むくみに関するあらゆることを図解します。
むくみのメカニズム自体は簡単ですが、むくみを引き起こす原因は様々なものがあり、むくみを根本的に解消するためには自分のむくみの原因を把握して対策しないといけません。
また、むくみは重い病気のシグナルである場合もあります。
この記事を読んでもらえると、むくみに関することは大体理解してもらえると思うので、是非最後まで読んでください。
“むくみ”って何?~むくみの原因(メカニズム)~
女性など特に足の“むくみ”が気になるという経験はあると思いますが、
そもそも“むくみ”の正体ってなんだかわかりますか?
ただ漠然と“水分で腫れている”という認識はあると思いますが、
・その“水分”の正体は何なのか?
・何故腫れるのか?
これらを初めに説明していきます。
むくみを引き起こす“水分”の正体
むくみを引き起こしている水分は、
細胞を満たしている“細胞間質液(または組織液)”という液体です。
細胞間質液は血管を流れる血液の一部が血管の外に出た液体で、
細胞に酸素や栄養を運んだり、細胞の老廃物を取り込んで排出する働きがあります。
①血管(動脈)から出て細胞間質液となった液体は、
役目を終えた後、②血管(静脈)へ戻っていき、また一部は③リンパ管から排出されます。
ここで動脈からの量が増えたり、
排出される量が少なくなるなどして細胞間質液が多くなった時“むくみ”が起こるのです。
では、次にむくみが起こる具体的な原因について見ていきましょう。
むくみが起こる原因
むくみが起きる原因は説明しましたが主に以下の3つです。
・動脈から出てくる細胞間質液の量が多い
・細胞間質液がリンパ管へ排出される量が少ない
・細胞間質液が静脈へ戻る量が少ない
これらが起こる理由、むくみのより具体的な原因をお話していきます。
主に以下のものが挙げられます。
✔重力の影響
✔長時間同じ姿勢でいる
✔筋肉の衰え
✔冷え
✔塩分の摂り過ぎ
✔アルコールの摂取
✔たんぱく質の不足
✔自律神経の乱れ
✔内臓疾患
重力の影響
血液は心臓から動脈の中を送り出され、
器官・細胞で役目を終えれば心臓へ静脈を通って戻っていきます。
下半身の静脈の流れは基本的に重力に逆らう形になるため、
静脈へ戻ってくる細胞間質液の量が少なくなるのです。
夕方から夜にかけて“むくみ”が起こりやすいのはこのためです。
長時間同じ姿勢でいる
静脈の血液の流れやリンパの流れは、
筋肉の収縮のみがポンプとして働きます。(筋ポンプ作用)
※動脈の血液は心臓のポンプ作用によって血液が送り出されるが、血液の経路を考えると静脈は心臓から遠いため心臓のポンプ作用の影響が少ない。
長時間立ったままor座ったままの姿勢でいる場合、
重力の影響に加え、筋肉のポンプとしての働きがなされなため、
細胞間質液が滞り、むくみが生じるのです。
筋肉の衰え
高齢になったり運動不足のため筋肉の減少・衰えが見られると、
“むくみ”になりやすくなります。
これは前述した筋ポンプ作用が弱くなり静脈やリンパの流れを滞らせるためです。
冷え
体の冷えがむくみに繋がるとはよく言われる事ですが、
これは体が冷えることで“血行不良”、“筋肉のパフォーマンス低下”が現れ、
結果、細胞間質液が滞り、むくみが生じます。
塩分の摂り過ぎ
塩分を摂りすぎると水分を体に溜め込もうとし、
水分を十分排出できなかったり、喉の乾きという信号が現れます。
結果、体内の水分量の増加に伴い細胞間質液の増加につながるのです。
◆塩分と体液量の関係
体内の塩分濃度は一定に保たれる性質があり、そのため塩分を過剰摂取するとそれを薄めるために水分を体内に溜め込みます。単に水分を過剰に摂取しただけならすぐに尿として排出されますが、塩分はすぐに排出されないため、体液量はしばらく多いままなのです。
アルコールの摂取
アルコールを摂取した次の日に顔がパンパンに腫れていた、
なんて経験がある人も珍しくないと思います。
実はアルコールがむくみを引き起こすメカニズムには様々なものがあります。
アルコールは血管を拡張する性質があるため、
動脈から水分を通しやすくなり、細胞間質液の量が増えるのです。
また、アルコールは脱水効果があり尿の量が増えますが、
水分を排出した後は喉が渇くため水分を摂取します。
しかし、体内の水分量を判断する機能が低下しているため、
必要以上に摂取してしまい水分過多となり、これがむくみの一因となります。
たんぱく質の不足
摂取したタンパク質の一部は、
分解されて“アルブミン”という物質になります。
アルブミンは血管内の血液中に存在しており、
血液中のアルブミンの濃度が低いと浸透圧の影響で細胞間質液が増加し、
むくみが生じます。
■浸透圧とは・・・
溶媒のみが透過できる膜において、溶媒が、濃度の低い側から高い側へ移動するように働く力。濃度差に比例して大きくなる。血管はアルブミンを通さないので、アルブミンが少ないと(濃度が低いと)血管から出ていく溶媒は多くなる。
自律神経の乱れ
むくみは自律神経の乱れも関係します。
■まず、自律神経とは・・・
自律神経は“交感神経”と“副交感神経”から成ります。
交感神経:興奮状態の時に働く
副交感神経:リラックス状態の時に働く
このように二つは相反するものであり、
私たちの健康はこの二つのバランスによって維持されています。
自律神経の乱れは、睡眠不足やストレスなどによって引き起こされます。
交感神経には血管を収縮させる性質があるため、
交感神経が弱ければ血管が拡張され動脈から水分を通しやすくなりむくみが起こります。
また、交感神経が優位な場合が続くときも、
血管の収縮により血液やリンパの流れを悪化させるためむくみの原因になります。
内臓疾患
むくみは心臓、肝臓、腎臓など、
重要な内臓の疾患のシグナルとなることもあります。
■心臓疾患
心不全になると心臓のポンプ機能が低下するため、
血流が滞りむくみが生じます。
■肝臓疾患
肝臓はアルブミンの生成を担っているので、
肝臓の疾患によってアルブミンの量が減少することがります。
■腎臓疾患
腎臓の疾患により尿として排出される水分が減るため、
塩分を過剰摂取しなくとも体液量が増加します。
むくみを改善する方法
では次に、むくみを改善する方法をご紹介します。
ほとんどの場合、
“むくみの原因”を把握し、その原因を解消する方法をとればいいのですが、
もう少し詳しく見ていきましょう。
・日常生活で気をかけること
・即効性のある方法
・慢性的なむくみについて
日常生活で気をかけること
まず、常日頃から意識すべきことです。
✔冷え対策
・エアコン、冷房機器を多用せず冷えないようにする
✔アルコールの摂取
・アルコールの量を抑える
・アルコール摂取後、水分は少しずつとる
※一気に水分をとっても乾きは収まらない
・翌日は水分をあまり取らず、汗をかいて水分を排出する
✔たんぱく質の不足
・たんぱく質を十分摂取する
※推奨量は体重の1000分の1
例)体重50Kg⇒たんぱく質50g
✔塩分の摂り過ぎ
・塩分を取り過ぎない
・カリウムを十分摂取する
※カリウムは塩分(ナトリウム)の排出を助ける
☟塩分の摂取量、減塩の方法についてはこちらをご覧下さい。
塩分の1日の摂取量は?摂り過ぎや不足の症状『むくみ』や『高血圧』について
✔筋肉の衰え
・運動の習慣をつける
※筋肉強化以外にも代謝改善&血流改善効果も
✔自律神経の乱れ
・規則正しい睡眠を取る
・カルシウムの摂取
※カルシウムは精神を安定させストレスを減らす作用有り
即効性のある方法
✔長時間同じ姿勢でいる
✔重力の影響
などが原因でむくみが生じる時、状況によっては直接対策できないことも考えられるので、
むくみに即効性がある方法をご紹介します。
主に以下の4つです。
・足湯
・足を心臓よりも高い位置に固定する
・とりあえず体(特に下半身)を動かす
・リンパマッサージ
足湯
足を温めることや水圧の効果により、
血流や、リンパの流れを良くすることができます。
足を心臓よりも高い位置に固定する
重力によって妨げられている静脈の血流を促進するために、
寝転がったりして足を心臓より高い位置で固定します。
ただ、人目がある場所ではできないと思うので、
自宅にいるときだけしか使えないかもしれませんね。
とりあえず体(特に下半身)を動かす
体を動かすことで筋肉の収縮によるポンプ作用が働くので、
静脈の血液やリンパの流れを促進させることができます。
軽いストレッチやウォーキング、階段昇降運動など、
空いた時間に行うといいでしょう。
リンパマッサージ
あまり体を動かせない状況にあったり体を動かしたくない場合、
リンパマッサージをおすすめします。
☟リンパマッサージの方法についてはこちらをご覧下さい。
むくみ改善に効果的!リンパマッサージの正しい方法【足・顔】
慢性的なむくみについて
むくみは様々な要因が考えられるのですが、
たまにむくみが生じるくらいならともかく、
慢性的に悩まされている場合は“内臓疾患”の可能性が十分考えられます。
むくみは一般的で身近な症状ですが、
“病気”のシグナルであるということを頭に入れておくことは非常に重要です。
もし、常にむくみに悩まされているなら、
放置せずに速やかに病院で診てもらいましょう。
あとがき
以上、“むくみの原因”や“むくみを取る方法”についてでした。
むくみを解消しても脂肪が減るわけではないので、
『むくみの解消≠ダイエット』ですが、
むくみを解消することで見栄えも良くなるのは間違いありません。
場合によってはむくみをとるだけで数キロくらい体重が減ることもありますしね。
今回むくみについて幅広く説明してきましたが、
まだまだ書き足りないことがあるので、
もう少しむくみに関する記事を書こうと思います。
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